日本の民話ポータル：あったかふるさと憩いの場

　昔昔、欲のないお爺さんとお婆さん、欲のあるお爺さんとお婆さんがいたったど。欲のないお爺さんとお婆さんがダンゴいっぱいこしらえたと。そしたら大きな一個が転がったから拾おうとしたらころころころとどこまでも行くもんだから、「ダンゴ殿まっておこやえし、ダンゴ殿まっておこやえし」と追いかけて行ったと。そしたら大きな穴さポコンと入ったと。それでお爺さんも中に入ったら、大きな地蔵様が立ってあったと。それでお爺さんは土のついた所は自分で食べて土のない所をお供えしたと。そうしたら地蔵様が「爺さん爺さん膝にあがれ」と言ったと。お爺さんはたまげて「アーもったいないもったいない」と言っても、「早く上がれ。肩に登れ頭に登れ。そして屋根に登れ。今にここに鬼どもが来るから夜の明ける頃コケコッコーコケコッコーと三べんにわとりのまねしろよ」と言われたと。お爺さんは「ハイ」と言ってどんな事になるかと思ったと。そのうち鬼どもがいっぱい来て、ドンチャンドンチャン酒のんでさわいだと。そしてだんだん夜が明けかけたから大きな声で「コケコッコーコケコッコー」と音をたてたと。そうしたら鬼ども「ソラー夜明けるー」と何ももたねで行ってしまったど。そうしたら地蔵様が「爺さん爺さん早く降りて来い。そしてこの宝みな持って行け」と言われたと。爺さんたまげて「おしょし、おしょし」といっぱいもらって帰ったと。婆さんたまげてたまげて。その話を聞いた欲のある爺さんがダンゴを作って、ダンゴが転がらないのに足で転がして穴に入れてやって、地蔵様には土のついた所を供え、自分は土のない所を食べて、膝に上がれとも言われないのにドシドシ屋根まで登って行ったと。そうして夜になったらやっぱり鬼どもが来たと。ドンチャンドンチャン始めたと。そしてまだ夜のうちに「コケコッコーコケコッコー」と音たてたど。そうしたら鬼どもは「何んだまだ夜だ」と屋根にいる爺さんを見つけて、「こないだもだましたな。こらしめてやれ」とみんなにせめられたと。婆さんは宝物いっぱい持って来るのかと待ってたらコブだらけの爺さんがかえって来た。トウビントー。