昔むかしある所に、一人の貧乏な百姓が住んでおりました。働いても働いても貧乏でした。爺さまには子供が十人もいました。村には大金持ちの長者がいて、ある日の事、長者様が爺さまを呼んで「わしも爺さまのように幸せにあやかりたい」とご馳走をしました。爺さまは「長者様こそ金持ちで幸福だべ」と言うと、長者様は「いやいや爺さまこそ、村一番の幸福者よ。わしなど身体も弱いし、それに子供もいないし、何と言っても第一番のたからは健康、第二番は子だからじゃ、第三番目がお金。わしなぞお金しかないんだから村一番の幸福者は爺さまだよ」と言われました。爺さまはうれしくてうれしくて家に帰ると婆さまにその事を話し、一番宝と二番宝のお礼にと、お宮参りをしました。子供たちも大きくなってお金もたくさんたまったが、困った人でもおればおしげもなく助けてやるので、爺さまと婆さまは世間の方々から貧乏長者と呼ばれるようになりました。
白鷹町老人クラブ連合会様 「白鷹のとんとむかしとうびんと」より
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