日本の民話ポータル：あったかふるさと憩いの場

　昔あったけどなあ。あるところにじじちゃとばばちゃが仲良く暮していたけど。
ある朝、お茶を呑みながら「ばばちゃ、ゆんべ地蔵様の夢見たけｴー」と言ったと。「ほだからだんごでも搗いて地蔵様に上げ申したらえんねがｴー」と言って、だんごを搗いて仲良く二人でまるめ方をしたど。
そうしたところ、だんごがころころところんで外に出て行ったんだと。じじちゃがあわてて「だんごどの、だんごどの、どこまでどこまでござるのだっしいー」と追っかけて行ったところ、地蔵様に上がってちょこんと供えられていたけど。じじちゃとばばちゃは搗いただんごをいっぱい上げだんだどをー。そうしたら「おしょうしな、おしょうしな」と言って、お礼を言われたんだと。そして地蔵様に「今晩、悪者がおいはぎをして色々な物を持って来るから、じじさは、はりの上にあがっててけろ。そして夜明けの頃、コケッコーと鳴いてけろ」と言われてあがって行ったんだと。ぢぢちゃは屋根裏に上がってぢっと待っていたところ、来た来た悪者が、そして色々な物を広げて分けようとしているところに「コケッコー」と鳴たら、悪者が一目散に逃げて行ったんだと。やっぱり悪い事は壁に耳あり障子に目ありと言って、悪い事は誰かは見ているなだど。地蔵様は「じじさあ、おりてこい」と言われたのでおりて来たら、あるわあるわ宝物が一ぱいあったけど。それを皆持って行って良いと言われたので、気持ちの良いじじちゃとばばちゃは喜んで皆んなに分けてけっちゃなだど。それからは皆んなも地蔵様に感謝し有難くお礼をして、だんごだの色々な物を上げるようになったんだど。おぼこ達は毎日地蔵様のところが遊び場で、日が暮れるのも忘れて遊んだものだったと。毎朝学校へ行く時は皆んな集まる迄木の地蔵様と遊んで、元気で学校へ仲良く登校して行ったんだと。毎日毎日おぼこ達はその地蔵様をどこまで遠くまで投げられるか、力くらべをしたものだったんでしょう。投げられた地蔵様は誰かがきれいに洗って次の朝にはちゃんと飾られていたけど。
　地蔵様は今日も元気なおぼこ達と遊ぶのがうれしくてうれしくていたんだど。地区の皆んなは地蔵様に守られて遊ばせてもらって丈夫に育ててもらって喜んで感謝しているんだけど。とうびんと。